江戸の祭り


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三社

<2001年版>

Date: Sun, 20 May 2001 00:48:25 +0900
野閑人じゃ。
犬も嵐も踏み越えて行て来ましたぞね。
五月晴れで朝から暑い。いそいそとカメラを持って電車乗って神田で地下鉄に乗り換え浅草へ。
今日は三社様のお祭り。朝から聞こえる笛太鼓かな。


因みに、三社様は浅草寺のことではありませぬ。浅草寺に隣接した浅草神社のこと。三社とは三つの神社を合わせた意味ではなく、浅草神社には御神体が三つあるので三社様という。
縁起は長くなるので省くが、古い神社で、七百年ほど昔からあるそうです。因みに浅草寺の縁起は千三百年前に溯ります。


三社祭は明治5年に始まった比較的新しい祭です。
それまで浅草の祭と言えば、浅草寺の観音祭りもしくは船祭りと言われたもので、神輿は無く、各町が山車を出して練り歩く祭だったようです。それが明治維新後廃止になり、代わって三社祭が5月の縁日に行われるようになりました。


今日は各町神輿の渡御の日で、本社神輿の渡御は明日(20日)だ。
雷門から仲見世のものすごい人波をかき分けて奥山(浅草寺の裏にある広場)に行くと、各町神輿が勢揃いしていた。全部でたぶん4、50丁ぐらい。
ここから順繰りに浅草の町々へ繰り出して行く。


やっぱり、深川や神田に比べて、より下町的で、派手で賑やかな感じがする。
氏子は各町ごとにそろいの股引、半纏、豆絞りの手拭いで神輿を担ぎ、お囃子をやる。お囃子は浅草独自のお囃子だろう。
楽器はもちろん神田囃子と同じく江戸囃子なので鉦、太鼓、横笛だ。
神輿の宮出しが始まると、浅草寺、浅草神社の境内は立錐の余地も無い人出。小生の後で江戸っ子らしい老人二人が神輿を見物しながら面白い会話を交わしていた。


 「半纏を着ないで神輿を担いでるのが居るなあ」
 「深川(深川祭のこと)では半纏無しでは担がせてくれねえがなあ」
 「深川はきびしいからねえ」
 「二階から見てると怒られるしねえ」
 「深川は水をかけるから冷てえや」
 「深川の神輿は大きすぎて練ることができねえ」


境内を出たり入ったりしながら3時間ほど見物した。
帰りに仲見世の佃煮屋に入って好物の浅蜊の深煮を買った。
そのあと駒形まで歩いて駒形堂のほとりで隅田の川風に吹かれてみた。川風強く頬に心地よい。


  君は今 駒形あたり ほととぎす     三浦屋高尾太夫


それから「駒形どぜう」の前まで行ってみた。
この建物は本当に好きだ。木造二階の店造りで、当然戦後に建て直したものだろうが、大正頃の建物の感じがする。
今年がちょうど創業200周年で、看板が出ていた。
角地にあって江戸時代から「角のどぜう屋」で有名だった。


  神輿待つ 間のどぜう汁 すすりけり     久保田万太郎

浅草の町なかはいずこでも祭囃子が聞こえていた。

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